ネパール人の実年齢は曖昧なこともある理由

2018/5/19
ネパール人女性の若い顔 実年齢より下の年齢で言いたがる女性は何度も見たことがありますが、ネパールではその逆で実年齢より上を言う女性が大勢います。例えばお婆さんに年齢を尋ねるととても高齢な年齢を言うなどよくあり、いやそれはないのでは?と思うことが良くあります。若者でもあります。若者のケースでは年齢を推定し辛く、ネパール人は十代からすでに立派な顔立ちになりだすので、童顔の日本からネパールへ来ると、実際より上の年齢を言われても気づかないことがあると思います。 特に例えばアーリア系はティーネージャーなのに、20歳と言われても疑いのないような顔立ちになっている人も少なくありません。女の子もしっかりとした顔立ちになっていますし、男の子とかは髭がびっしりと生えそろっています。 この年齢と外見をさらに複雑にさせているのがネパール人の生年月日の曖昧さです。実は本人も実年齢をよくわかっていないことがあります。
ネパール人の生年月日はあいまいで、実年齢と2歳ぐらいの誤差は珍しくありません。正確な年齢が何歳であるかより、公式な身分証明書上に何歳と書かれてあるか、これが重要視されている事情があります。

ネパール人の年齢があやふやな理由

  1. ネパールでは身分証は、高等教育に在籍した時点で本人が届け出て作る制度になっています。必要書類は誕生証明と高校の卒業書だったそうで、高校の卒業をしていないと身分証を作ることはできなかったようです。それでは困るということで、裏金を渡せば高校を卒業していなくても作れていたそうです。
  2. また留年や遅く学校に行き始める人もいるので高校卒業時点でなっているべき年齢という考えが希薄です。ですので身分証明を作るとき、適当な年齢を書いても誰もそれに気づきません。
  3. さらに実年齢を知らない場合まであります。親に「ボクの誕生日いつだっけ?」と聞いて親がおもむろに過去をふりかえって数えながら、「あんたは20歳のはずだよ。」「あ、そうなんだ。はい。」みたいな。こんな状態でも届け出ればそれが公式の年齢になります。国が発行した身分証にそう書かれるならばもはや何といいようもなく、それが最終的な年齢ということになります。
  4. 次は数え間違いのケースです。年齢への無頓着っぷりは、ネパールは西洋歴をつかっていないのも要因の一つになっています。自分の生まれ年を西洋歴で覚えていないのです。ネパール歴の何年何月に生まれた、というのが大事であって、書類に記す西洋歴などどうでもいいと思っている人もいます。しかもネパールカレンダーは年ごとに月の日数も変わるし、新年の日付も変わるため、身分証に国際カレンダーで正確に記すことが不可能なのです。
  5. 続いてはネパールの国情に関係します。生きる選択肢として身分証明書にわざと実年齢より上の年齢を書く人もいるといいます。学業をあきらめ、早く職につきたい場合や学校に行きたくないとか、勉強が嫌い、或いは勉強より働かないといけない。もしくは、すすんで働きたい場合。そんなとき年齢を上に書くことで早く職業に就けるようにする手もあるようです。
  6. 次は文化的なことで、ネパールでは十代で結婚することは今も一般的で頻繁にありますが、婚姻届けは20歳からしかできないようになっています。(20歳以下で届け出をしない伝統的な宗教儀式による結婚はたくさんあります。)お見合で親同士家族同士が結婚を決めるケースもまだまだありますが、法の保護が欲しい人はどうしても婚姻届け出したいので、最初から結婚に備えて少し上の年齢で書いておくケースもあります。そういったことで、縁談はいつ舞い込むか分からないものだから、結婚の際にいつでもスムーズに婚姻届けを出せるように、年齢を少し上に設定して身分証をあらかじめ作っている場合もあります。(例えば夫が早死にした場合に政府から支給金を受けるには婚姻届けをしていないいけません。)
  7. 最後は周りがそうしているから自分もしたというケースもあります。上に述べたようにもともといい加減な生年月日で身分証を作ることもあるため、学生になって身分証をつくるときに思春期の学生たちは、「私はこの歳になりたい」という一過性の願望で生年月日を届けている場合もあるのです。