クマイバフン:インド系ブラーマンでネパールに定住しグループ化したカースト
ネパールのヒンズー教最上位カーストのバフン族(ブラーマン)には2種類あります。一つはプルビヤバフンと言ってネパール独自のもの、もう一つクマイバフンと言って特に北インドのウッタラーカンド州クマオンとガルワールを出自とするブラーマングループで、中世あたりからネパールに入植し始めた人々です。ネパール西部のから入ってきて、徐々にネパール全域に広がっていきました。今ではネパールのあらゆるところにランダムに住んでいます。
最近はほとんど語られなくなっていますが、一昔前まではグループがはっきりと識別されていました。また、プルビヤ派はクマイに対して対抗意識を持っていたようです。ネパール全体で異カースト婚も急増しているのでもはや意味のない話ですが、昔は特に婚姻において、クマイバフンはネパールの土着と交わらなかったためその名の通りクマイ系のブラーマンということでクマイバフンという言葉ができてしまった経緯があります。多くはインドのクマオンから入ってきたためそう呼ばれましたが、それよりもっと西から来たであろう苗字もクマイバウンには散見されます。例えばアワスティはインドのヒマーチャルプラデシュ州にも見られます。クマイバウンはネパールネイティブのバウンに比べて苗字の数が少ないです。現在クマイバフンの人口はかなり少ないです。同姓でもクマイではなくなっている人もけっこういます。これは代々個々の家で認知し、ローカルの神官も知っていますが、第三者が名前や出身地や見た目だけで即それが分かるものではありません。(確かに北インド系丸出しの顔立ちの人も時々いますが)。出自などは地元のソサエティで認知されるぐらいで、全体で識別するマニュアルが共有されているわけではありません。またネパール人は自分のカーストのこと以外知らないケースも多く、バフン以外の人々がバフンについては何も知識がないのも当たり前にあります。以下クマイバウンの苗字をリストします。(あいうえお順)
- アワスティ
- ウプレティ
- オージャ
- オリ
- カレル
- カクレル
- カデル
- カンデル
- スィワコティ
- セダイン
- タパリア
- チャウラガイン
- チャタウトゥ
- ティワリ
- トゥリパティ
- バット
- パタック
- パネル
- パンタ
- パンデ
- ビスタ
- プラサイ
- べトゥワル
- マイナリ
- ミシュラ
- レグミ
- レカック
- ロハニ
上記のうち、ティワリ、チャウラガイン、レグミ、ミシュラはプルビヤにも存在する苗字です。特にチャウラガインはバフンにもチェトリにも更にフマガインやチャパガインと言った語尾がガインで終わる苗字の一派にも存在する苗字なので紛らわしいところがあります。またビスタもバウンとチェトリにも存在する苗字、バット姓は似通った名前にバッタというのがあります。当然別物です。ちなみにバッタはネワールの苗字になっています。クマイ派はインドから来たのでバット姓があるということです。ネパールでは同じ苗字を別々の階層がどちらも使っている場合が時々あります。例えばプルビアバフンのジョシ姓はネワール族にも存在する苗字で、このジョシのケースは人口も多いのでとても紛らわしくなっています。) 現在ネパールでは、こういったことについてはネパール人の他カーストの人々はほとんど知らないため、適当にあの人はバフン、あの人はチェトリというように、あてずっぽうになってきており、ほとんど何も分かっていないぐらいカーストに対する知識は希薄化しています。ましてクマイバフンについては年配や当事者ぐらいにならないと知らない例も多くなっています。
英語の綴りです。
- Awasthi
- Upreti
- Oja
- Oli
- Kharel
- khakurel
- Kadel
- Kandel
- shiwakoti
- Sedhain
- Thapalia
- Chaulagain
- Chataut
- Tiwari
- Tripathi
- bhatt
- Pathak
- Panel
- Panta
- Pandey
- Bista
- Prasai
- Bhetwal
- Mainali
- Mishra
- Regmi
- Lekhak
- Lohani
生活習慣などはネパール人とほとんど大差ありません。アイデンティティもネパール人としての自覚を持っています。ただし、婚姻だけはクマイブラーマンを残し続けていたということです。