今では想像もできないネパール内戦時の話とマオイストが選挙で強い理由
ネパールには沢山の政党があるけど、中でもマオイストがいつもけっこう票を集めている。え?マオイストとは?あるいはジャングルにいたテロリストじゃなかった?と思う人もいると思うんだ。
貧困と治安には一定の関係はあるんだろうけど、アジア最貧国と言われるネパールはなんて平和な国なんだろうといつも思う。だけど10数年前までネパールは内戦でマオイストたちがジャングルに潜んでいた。山村ではマオイストに協力する人も多かったというけど、逆に協力を強要された人々もいた。金銭支援を強制されたり、暴行を受けたといったことも最近時々証言と言う形ででてきたりしている。いずにしてもネパールに来ればほんとにそんなことが最近まであった国なのだろうか?という実感が湧かない平和な国になっている。
私の知人に武装警察の幹部がいるけど、彼は足が不自由なんだ。実はそれは現場に出ていた時代マオイストに銃撃されたから。ジャングルで偵察任務にあたっていたころ、潜んでいたマオイスト(ネパール共産党毛沢東派)に丘の上からマシンガンによる銃撃を臀部に受けた。彼はそのまま横転して気絶してしまい、傍にいた同僚も被弾して死亡。彼も出血多量で死にかけたけど、1日近くかけてカトマンズまで運ばれてたまたま用事があってきていたドイツ人医師に緊急治療をしてもらえて一命をとりとめたんだ。気絶してて何も覚えてないけど、その医師がいなかったらおそらく死んでただろうとも言っていた。
当時マオイストたちはジャングルに潜んで政府に対してゲリラ攻撃をしていた。マオイストは主に田舎の貧農たちがメンバーで構成されカーストはさまざまだったらしい。グループでジャングル生活をし、村人達からほどこしを受けて生き抜いていた。そして貧しい村々では支持者たちもいたという。或いは殺されると思い食料を渡した村人もいた。(いつも歓迎されていたわけではなく、時には村人から略奪することもあったそう。) マオイストへの共感者達が一定数いたからゲリラを継続できたんだね。特に奥地の貧しい村では支持率が今も高い。こないだもカトマンズから少し山に入った地方ではマオイストが今も凄い人気だった。選挙があるなら絶対マオイストっていう人たちがやっぱり絶対いる。
貧しい人々で構成される神出鬼没の武装ゲリラ・マオイストに手を焼いたネパール政府は図って和平協定した。協議の時マオイストの構成員リストの開示があったという。構成員は三千人わずかだったそうだ。貧しさに耐えかねて蜂起した田舎の人々だった。協議の結果、マオイストは武器をしまって公に政党として活動できるようになった。
こういう事情があるから今も選挙になるとマオイストを支持する層がいるから存在感を示しているんだ。