インド人の名前と苗字一覧

インド人の名前と苗字一覧

インド人の名前に多く見られるクマール(意味は男子)やシンといった名字は、ヒンドゥー教やシク教の伝統、サンスクリット語、カースト、地域、職業と密接に関連しており、そこから相手のルーツを読み解くことができます。また、カースト主義に抵抗した歴史的背景から北インドと南インドの命名ルールの違いがあったり、イスラム教の名前もあり、名前を知ることはインドの造形を知ることにもつながります。それは、在日インド人が増加する今、インド社会を深く理解し、彼らとの絆を深める第一歩になるはずです。

インド人に多い名前と苗字一覧

インド人男性の名前

  • アミール (Amir)
  • アバス (Abash) 感知
  • アソック (Ashok) 古代インドの大王
  • アブドゥル (Abdul) イスラム教徒
  • アシス (Asish)
  • アーメッド (Amed) 神聖な創造物
  • アディティァ (Adithya) 太陽
  • アリャン (Aryan) 戦士、栄誉
  • アルジュン (Arjun) 光り輝
  • アビシェク (abhishek) 献身
  • アミット (Amit) ユダヤ系にもあるが別
  • アモール (Amol)
  • アルス (Arush)
  • アニル (Anil)
  • アトゥル (Athul) 唯一無二
  • アクシェイ (Akshay)
  • アロック (Alok)
  • アージャイ (Ajay)
  • イムラン (Imran)
  • イサーン (Ishaan) 太陽
  • ヴィジェイ (Vijay)
  • ヴィシャル (Vishal)
  • ヴィノッド (Vinod)
  • ヴィラジ (Viraj)
  • ヴィール (Veer)
  • オムプラカス (Omprakash)
  • オーム (Om)
  • ガネシュ (Ganesh)
  • カマル (Kamal)
  • カビル (Kabir)
  • キサン (Kisan) クリシュナ神の別名
  • グルディプ (Gurudip) グルは師を意味しディップは光を意味します
  • クマール(Kumar) シバ神の息子の名前から転じてヒンズー教徒の男性に良くつく名前になりました。
  • クリシュナ (Krishna) ヒンドゥの神
  • ゴビン(Govin)
  • ゴビンダ (Govinda) 年配に多い名前です。ヒンズー教の牛の守護神です。
  • ゴパル (Gopal)
  • サントス (Santosh) 純真
  • サンジャイ (Sanjay)
  • サルマン (Salman) ムスリムが付ける名前
  • サンジヴ (Sanjeev)
  • サンカル (Shankar)
  • シヴ (Shiv) シヴァ神
  • ジテンドラ (Jitendra)
  • シャム (Sham)
  • シダルタ (Siddhartha)
  • スレス (Suresh)
  • スニル (Sunil)
  • スディップ (Sudeep)
  • スバス (Subash)
  • ソヌ (Sonu)
  • ダルシャン(darshan)
  • チャンダン (Chandan)
  • デバラジ (Devaraj)
  • デヴ (Dev)
  • ディリ (Dhili)
  • ディネス (Dinesh)
  • ディリップ (Dilip)
  • ディーパック (Deepak) 光
  • ナラヤン (Narayan)
  • ニラージ (Nirak/Neeraj)
  • パンカジ (Pankaj)
  • パワン (Pawan)
  • ハリス (Harish)
  • ハッサン (Hassan)
  • バラト (bharat) 「インド」を意味します。
  • ビジェイ (Bijay)
  • ビベック (Bivek/Bibek)
  • ビサル (Vishal)
  • ビカス (Vikash) 聡明
  • ファルハン (Farhan)
  • プラカス (Prakash)
  • プレム (Prem)
  • プラサント (Prashant)
  • プラディップ (Pradeep)
  • プラサド (Prasad)
  • プラモッド (Pramod)
  • マヘンドラ (Mahendra)
  • マヒンダー (Mohinder)
  • マヤンク (Mayank)
  • マヘス (Mahesh)
  • マニス (Manish)
  • マヌ (Monu)
  • マノジ (Nanoj)
  • ミトゥン (Mithun)
  • ムケシュ (Mukesh)
  • モハメッド (Mohamed)
  • モハン (Mohan)
  • ラージ (Raj)
  • ラジュ (Raju)
  • ラム (Ram)
  • ラケシュ (Rakesh)
  • ラムチャンドラ (Ramchandra)
  • ラメス (Ramesh)
  • ロヒート(Rohit)
  • ラビ (Ravi)
  • ラフール(Rahul) 釈迦の息子の名前
  • ラジェンドラ (Rajendra)
  • ランビル (Ranveer)
  • ラジクマル (Rajkumar)
  • ラジェス (Rajesh)
  • ロハン (Rohan)

インド人女性の名前

  • アーシャ (Asha)
  • アーリア (Alia) 壮大、遠大、崇高
  • アンジャナ (Anjana)
  • アビル (Abir) ヒンドゥーで使われる赤い粉
  • アニカ (Anika) 素晴らしい
  • アディティ (Aditi) 分け隔てなく、無限の
  • アンビカ (ambika) ドゥルガ神の別名
  • アヌ(anu)
  • アイシュワリヤ
  • アノシュカ (Anushka) 恵み、好意、輝き
  • アムリタ (Amrita) 不死
  • アンジャリ (Anjalee) 贈り物
  • イラ (Ira) 風の神
  • イーシャ 支配者
  • インディラ (Indira) 美しく素晴らしい
  • インドゥ (Indu) 月
  • ウマ (Uma)
  • カルパナ (Kalpana) 夢想
  • カマラ (Kamala) 蓮
  • ガンガ (Ganga) サンスクリット語で川を意味するが、特にヒンドゥー信仰によるガンジス川を意識した名前
  • カジャル (Kajal) 黒いアイライナー
  • カリスマ
  • キアラ (Kiara)
  • ギータ (Gita)
  • キラン (Kiran) 陽光
  • クリティカ
  • サンジャナ
  • サラスワティ
  • サビトリ
  • サプナ
  • シーマ
  • シャンティ
  • ジョティ (Joti)
  • シムラン (Simran) 記憶、瞑想
  • シタ (Sita) 清純を象徴した女神の名
  • シャルミラ
  • シーラ
  • スニタ (Snita)
  • スニハ
  • スシラ
  • スリデヴィ
  • ソフィア (Sofia)
  • タラ (Tara) 星
  • ターニャ
  • チャトゥルベドゥラ (Chaturvedula) 南インドのブラーマン
  • チャンダ (Chanda)月
  • ディア (Dia)
  • ディパ (Deepa) 光
  • ディピカ (Dipika) 光 サンスクリット語で光を意味するディプから転じた女性名
  • デヴィ (Devi) 女神
  • ディヴィァ (Divya) 至高
  • ナビーン
  • ナディア (Nadia)
  • ニーシャ (Nisha)
  • ニキタ (Nikita)
  • ネハ (Neha) 新しい
  • パビトラ (Pabitra) 神聖
  • ヴァルサ (Barsha)
  • ビジェイ
  • ビマラ
  • ファティマ
  • プリヤ (Priya) 愛されている
  • プージャ (Pooja) ヒンドゥーで神に祈ること
  • プスパ (Pushpa) 花
  • プリヤンカ (Priyanka)
  • プラティマ
  • マヤ (Maya) 愛
  • マニサ
  • マドゥ (Madu)
  • マラティ
  • マニサ
  • ミラ
  • ラクスミ (Laxmi)
  • ラスミ
  • ラディカ (Radhika) クリシュナ神の最愛の人ラダにちなんだ名前
  • ラニ (Rani) 女王
  • リヤ
  • レカ
  • ローズ

インド人の名字

  • アイヤール (Iyer) 南インドのブラーマン
  • アイヤンガール (Iyengar) 南インドのブラーマン
  • アガルワル マルワリに多い名字
  • アチャリャ (Acharya) ブラーマン
  • ウプレティ (Upreti) ブラーマン
  • ヴァルマ (Varma) 複数の階級に見られる
  • オマール (Omar) ビジネスカースト(ヒンドゥーでは中間階級)
  • カプール (Kapoor) カトリー
  • ガウタム (Gautam) ブラーマン
  • カムダール
  • カーン (Khan) イスラム教徒
  • カトリ (Khatri) パンジャブに多いクシャトリア系
  • ガルグ (Garg)
  • カンナ (Khanna) パンジャブのカトリーカースト
  • ガンディー (Gandhi)
  • グプタ (Gupta) ビジネスカースト
  • クマール (Kumar) 全ての階級に見られる
  • クラナ (Khurana) パンジャブ系
  • ケーラ
  • ゴウダ (Gowda) 南インドの農民階級
  • コール/カウル (Kaur) シク教徒の女性が名乗る姓
  • バルドゥワジ (Bhardwaj) ブラーマンの血閥の名称の一つだが、苗字として使う場合は別階級もあり
  • バッタ
  • チャンダ (Chanda) ベンガル系
  • ラナ (Rana) クシャトリヤのラジプット族
  • ベディ (Bedi) パンジャブ系
  • パテル (Patel) 西部に多いブラーマン
  • シェティー (Shetty) 南インドの商人階級に多い
  • ジャギ
  • シャー (Shah) イスラム教徒
  • ジャー (Jha)
  • シン/シング/スィン (Singh) ラジプット
  • シャルマ (sharma) ブラーマンだがビハールでは異階級にもあり
  • ダッタ (Datta)
  • タネジャ
  • ダス (Das) ベンガルやオリッサ周辺に多い
  • タクル (Thakur) クシャトリア
  • ダブラル
  • ダヤル
  • ダール (Dhar)
  • チャクラバルティ (Chakrabarti)
  • チャテルジー (Chatterjee) 西ベンガル系
  • チョウダリー マルワディや農民カーストなど幅広く
  • チョプラ (Chopra)
  • ディクシタール (Dikshitar) 南インドのブラーマン
  • トゥリベディ (Trivedi) ブラーマン
  • トゥリパティ (tripathi) ブラーマン
  • ナイール (Nair) 南インドのクシャトリヤ
  • ナガラジ (Nagaraj)
  • ニガム
  • ネヘラ (Nehra) 北西部に多い
  • ネギ (Negi) クシャトリア
  • ノディアル
  • ヤダブ (Yadav) 農業カーストに多い、ネパール南部にも多い
  • ハイデリ (Hyderi)
  • ハーサン
  • バット
  • バッタ
  • バンダリ (Bhandari)
  • パルマー (Parmer) クシャトリヤのラジプット
  • バルマ (Barma) 北インドのブラーマン
  • パタック (Pathak)
  • パドゥコーネ
  • バッタチャルジー (Bhattacharjee) 西ベンガル系
  • バネルジー (Banerjee) 西ベンガル系
  • パタルカール
  • パンディット (Pandit) ブラーマン
  • パンデー (Pandey) ブラーマン
  • ピッライ (Pillai) 南インドに多い
  • ヘグデ (Hegde) 南インドのブラーマン
  • プリ (Puri)
  • マリック (Malick)
  • ミシュラ (Mishra) ブラーマン
  • ムケルジー (Mukherjee) 西ベンガル系
  • メヘラ (Mehra) ビジネスカースト
  • モディ (Modi)
  • ライ (Rai) 東部と南部に多く、双方で人種と階級が異なる
  • ラオ (Rao) 南インドのあらゆる階級に多い (ブラーマンにもいる)
  • レッディ (Reddy) 南インドの地主階級で非常に強力

いかがでしょうか。けっこうカッコいい響きの名前もありますね。英語の名前とはまた一味違った、エキゾチックな情緒を感じるのではないでしょうか。下の名前は神聖な意味をこめたものが多いですね。またインドはヒンドゥだけでなくイスラム系の名前も多数います。そのあたりに宗教色の濃いインドのバックグラウドを感じますね。
インドの苗字で注意が必要なのは、地域によって苗字とカースト(ジャート)がバラバラな点があります。そのうえで更に、現代では名字も好きなものに登録するケースもあります。その代表的な例を以下にいくつかご紹介します。

チョードリー

インド大陸で頻繁に聞く名前の一つがチョードリーです。この苗字が多い理由は、チョードリーは実は苗字としてだけでなく、地主やグループの長を意味する称号としても用いられた経緯があり、カーストを超え、宗教さえも超えて広く使われてきたからです。現在も非ヒンドゥーの先住民の苗字としても、ヒンドゥー教徒のカースト上位から下位までの苗字としても、更にはムスリムまでも先祖が使ったこの苗字チョードリーを名乗っています。
司祭階級やカースト上位は昔の先祖が大地主だった頃にチョードリーを苗字としたケースもあり、その子孫は以後チョードリー姓を名乗って増えていきました。
インドの先住民など一部部族はチョードリーという苗字を自前で使っています。
下位カーストも専門的な仕事を担った集団の中には、そのグループ長としてのタイトルとして、チョードリー姓を用いたケースもあるため、実際下位カーストでもチョードリー姓は珍しくありません。
このように、宗教とは関係なく、もともとチョードリー姓の人々がいるためヒンドゥー教徒にもイスラム教徒にも存在しています。

クマール

クマールは「男児」を意味します。これが苗字として広く受け入れられたのは、カースト制度が終わってからです。差別を受けていた人はかつての身分が知られる苗字を隠すためにクマールを名乗り、或いは、インドでは苗字を持たない人も一般的だったため、何かの用事で名前を登録することになった人がクマールを選んだ、あるいは、カースト制度で最上位にあった司祭階級の人でも差別撲滅を理想とする進歩的な知識人や真に気高い人もいて自ら最上位としての苗字を捨てクマール姓で登録したケースもあります。では、数ある苗字の中からなぜクマールを選んだか?その理由は、クマールという苗字は非常に一般的な単語だった点と、特定の階級が用いていた苗字ではなかったため、上位階級と同じ苗字になることも、下位と同じになることもなかった便利さで好まれました。

シャルマ

これは典型的な司祭階級が自分の苗字とは別に用いたタイトルでしたが、一部地域によっては下層に分類される人々の典型的な苗字になっている側面もあります。今やあらゆる階層に見られる苗字になった理由としては次のような経緯があります。
司祭階級における階級間結婚は、過去から例外的に存在し、そうした事例が時代を経て累積した結果、全体として相当な数に上るようになったためです。
一部の技術階級は自分たちが神聖な存在だと信じており、シャルマというタイトルを苗字にしていましたが、司祭階級からは下位とみなされ、観点によっては結果として下層も使用としているという構図です。
それとは別に、さらに下層のダリットでもシャルマ姓を名乗る人々がいます。これは厳しい差別から身を守るため、あえて司祭階級の苗字を登録したケースです。1950年代にカースト制度が廃止されてから、インドでは好きな名前を登録することができるようになっています。

民族名が苗字にもなっているケース

さて、インドはもともと一つの大きな国ではなかったため、各地に特有の民族がいます。その中で例えば北インドにドーグラという民族グループがありますが、このグループではドーグラという民族名そのものを苗字としている人もいます。これは出身が極めて直接的に分かるケースですね。このようにインドでは地域によって多い名前があるのもポイントです。そして、その理由こそが、かつては個別の王国として存立していた民族的背景があるためです。

ちなみに、一部にはネパールやバングラデシュにも同じ苗字があり、バングラのヒンドゥー教徒やネパールのクマオン系のバフンなど丘陵部族の一部はルーツが同じです。(4世代前ぐらいにインドからネパールに移り住んだ人やもっと以前にウッタラーカンド州からネパールに移住したクマイ・バフン、近年インドからビザなし渡航でビハール州からネパールに移り住んだマデシ系やボジュプリ系などの例外もいます。)。一方でルーツが異なるケースの方が多く、ヒンドゥーの階層が異なるケースもあります。例えばバッタはインドのブラフマンですが、ネパールではバッタ姓のブラフマンは西部の一部を除くと限定的で、大多数はネワール人(中間層)の苗字にあります。

名前とカーストや職業や宗教の関係性

イスラム教徒はイスラム教徒特有の名前、ヒンズー教徒もヒンズー教徒特有の名前を名乗ることから、ファーストネームか苗字のいずれか片方だけで分かるケースも多々あります。この、宗教特有の名前を名乗るというのは、例えばインドで最も多い名字、「Singh (シン)」が、なぜ多いのかという理由にも通じています。

シン(シング)

シン姓が多いパンジャブのシク教徒たち
ターバンを頭に巻いたシク教徒の男性たちは全員苗字をシンと名乗ることになっています。 - 2010年代、パンジャブ州アムリットサルのシク教総本山の黄金寺院にて撮影。

苗字としてのシンの存在と、インドで多くの信者がいるシク教では男性はシンを名乗るようになっていることにより、シン(シング)姓もまた非常に多く見かける苗字になっています。獅子を意味するシンは、北インド特にパンジャブのクシャトリヤが使用した苗字であり、パンジャブはインドで最もクシャトリヤ人口が多いことにより、相当なシン人口を支えているのに加え、カースト差別を否定したシク教の総本山がある州でもあるパンジャブでは、シク教徒の男性は苗字によって差別を受けることがないように、シンを全員が名乗るため、それらに関係する人がインド全土に散らばっているためどこに行っても見かける苗字の典型的な一つです。ちなみに、ヒンドゥー教からシク教に改宗している人のなかには、シンを名乗っていても先祖由来のクシャトリヤ系の苗字を持つ人も多数います。

インド人の秘密の名前 - ナクシャトラ・ナーマ(忌み名)

これはヒンドゥー教徒にみられる特徴の一つで、ヒンドゥー教徒には生まれた時の月の位置に基づいて付ける、ナクシャトラ・ナーマ(忌み名)という伝統があります。ナクシャトラ・ナーマは神官によって授けられ、神官と親と本人だけが知る『真の名前』です。ですが、このナクシャトラ・ナーマは人に知られて呪術をかけられるといけないという理由から、結局誰も使わない名前になります。これとは別に「プラチャリタ・ナーマ」と呼ばれる公称がIDカード、パスポート、その他すべての公的に使われる名前になります。ですので「プラチャリタ・ナーマ」が事実上の本名ということになります。ユブラジ・クマールという人がいたら、その名前を名乗ることにして登録したわけですから公式の本当の名前であるわけですが、それとは別の、生まれた時に付けられた本当の名前、例えば典型的な男性名バラーニなど、何かしらのナクシャトラ・ナーマが別にあり、それは絶対に教えることはないわけです。

インド人の名前と職業・階級

インドでは"自転車屋"や"〇〇職人"などカースト名が苗字のような場合もあります。例えばナチュネワラという苗字は、ナチュネが踊りを意味し、ワラが人を意味することで、職業はダンサー由来であることが分かります。或いはダルジーという苗字は洋服の仕立て屋カーストだとすぐに分かります。ラジャスタンなどではスタール姓はもともとは大工のカーストでした。このような理由による偏見を断ち切るため、名前を登録する時、全然違う名前にするケースが増えています。

階級と苗字についてはインド全土で一致しているわけではありません。例えばベンガル地方のブラーマンカーストには〇〇ルジーで終わる苗字が多いですが、それ以外の地域には見られません。または、チョードリーはパンジャブではカトリーカーストに属しますが、デリーではビジネスカーストであるように、地域ごとで属性にも変異があります。これは私が実際にインドに滞在していたときも、「私たちのカーストはこの辺りでは〇〇だ。」といったように、インドではと言わず、この地域ではという表現をいつも聞きました。インドは地域の独自性が非常に強く同国内であっても地域ごとで各々の認識に違いがあることが出ています。

北インドと南インドの名前の順番と書き方

北インドの名前の順番

通常インドでは名前は①「ファーストネーム+ラストネーム」か②「ファーストネーム+ミドルネーム+ラストネーム」か③「ミドルネーム+ラストネーム」の何れかの順番で書きます。例えばクリシュナ・クマール・パテルさんという方がいましたら、クリシュナが名前でクマールがミドルネームでパテルが苗字です。ミドルネームは必ずしもあるわけではありません。また名前の頭文字だけで表記することもあります。クリシュナ・クマール・パテルさんの例で実際にありうる名前の書き方としては次のようなものがあります。

  • クリシュナ・クマール・パテル
  • クリシュナ・K・パテル
  • K・クマール・パテル
  • K・K・パテル
  • クリシュナ・パテル
  • クマール・パテル

この様になります。ただし、順不同に書かれてあったり、名前+名前がフルネームとして身分証明書になってしまっていることもあります。その理由は、地域の習慣やカーストの理由で名字を普段使っていない人々もいますし、名前を届け出るときに意図的に好んで違うものにしたり、或いは良く分からないまま書くこともあるからです。そのため、誤ってミドルネームをラストネームとして届けていたり、苗字そのものを知らずに適当に名前を書いてしまっていることもあります。このような理由で外国人にとってはインド人の名前はどっちが苗字でどっちが名前なのか分からない場合もあると思います。これはある程度苗字と名前を憶えていくことで分かるようになるしかありません。

ラストネームは通常カーストを示しています。このカーストをはっきりと示す苗字の使用こそが、かつて反カースト運動が激化した南インドとの決定的な違いです。

南インド系と北インド系のインド人たち
異なる系統のインド人たち - 北インドと南インド、ヒンドゥーとイスラムなど、それぞれで名前の付け方まで異なる多様性を持つ。

南インドの名前の順番

南インドは、北インドのカースト制度と少々異なり、少数のブラーマン(バラモン)か大多数のそれ以外という構図による支配が続いた経緯があり、反カースト運動が激化した地です。そのため、カーストを直接的に示す苗字を廃止することが反カースト運動の中で推奨されました。更にそもそも差別の原因となっていたヒンドゥーから他に宗教に変わる動きも活発でした。そのため、今も北インドと比較して非ヒンドゥー教徒の比率が高い傾向にあります。こういった経緯により、北インドとは命名や書き方順番にも違いがでています。

南インドの名前の順番は、もともとは「村の名 + 父親の名前 + 自分の名前 + カースト」で名乗っていたのが、今では「村の名 + 父親の名前 + 自分の名前」で書くことが一般的になっています。「どこの村の、どのカーストか」から、 「どこの村の、誰の子供か」に変わったことが分かります。

典型的な例にインドの芸能人であり政治家でもあったM. G. Ramachandran氏の名前で見てみましょう。

M. G. Ramachandran
この名前の場合、Mは出身地のMaruthur、Gは父の名前Gopala、Ramachandranが本人の名前です。

このように、南インドでは名前の付け方が違うというのは、インドには苗字を持たない人もいる理由にもなっています。以下に解説します。

インドに苗字が無い人がいる理由

例えば南インドでは苗字を持たないことも一般的で、それは何も不自然なことではありません。仮に身分証明書作成など苗字が必要になった場合は村の名前であったり、地域の名前を届けることも一般的だからです。ですので、外国に行くことになってパスポートを作る時に初めて苗字を書く人もいて、そもそも苗字が分からなかったり、書く順番を知らなかったりで、明らかにファーストネームとして使われる名前が苗字になっている場合もあります。

インド人は結婚すると苗字を変更するのか?

インド人女性は結婚すると「ファーストネーム+夫のファーストネーム+夫のラストネーム」がフルネームになります。例えばラダさんと言う女性にクリシュナ・パテルさんという旦那さんがいましたら、ラダさんのフルネームはラダ・クリシュナ・パテルとなります。

インド人の名前の呼び方

インド人は通常、名前の後ろに「さん」を意味する「ジー」をつけて相手を呼びます。例えばビシャルさんを呼ぶときは「ビシャルジー」となります。突然呼び捨てをすることはありません。仲良くなってくるとバイサブと呼ぶこともあります。バイサブの意味は「バイ」は兄弟という意味で、「サブ」は英語のSirみたいな意味を持ち相手に敬意を表してます。年上の友達をバイヤー(兄ちゃん)と呼ぶことも多いです。幼馴染や親友、あるいは若い友達同士などは「ドスト」と呼んだり、名前だけで呼んでいます。時々「バイ」と呼ぶこともあります。

About Me:世界の文化・歴史・宗教を探究する

カースト制度やイスラム教の慣習、外国の名前や名字、観光情報や異郷の姿、紛争や社会摩擦に至るまで、世界各国の事象を、その背景にある本質的な因果とともに記録し、世界をより深く理解するための知識を読者と共有することを目指しています。

私が世界の「なぜ?」を追究し続ける理由

4 件のコメント

  1. インド東部の代表的な名字は何がありますか?

  2. バスマタリ、ボーロー、ニンゴム、デカー、レイシュラム、などがあります。
    インド東部はイギリス領インドになる以前は別の国で現在もモンゴロイド系諸族が多く生活しており、その方々は確かに名字も異なります。

  3. https://jp.mangalamnepal.com/2018/07/indian-first-name-surname-list.html
    中ほど
    「3.インドには苗字がない人もいる理由」の後半
    ・・・そもそも苗字が分からなかったり、【各順番】を知らなかったり・・・
     「各順番」ではなく
     「書く順番」でしょうか?

  4. その通りです。誤字です。すみません、ご指摘ありがとうございます。😉