タカリ族 ネパールの飲食店やホテル業をするカースト
昔からジョムソンを抜けムスタン王国まで旅する日本人が時々いた。当時はキャラバンで移動するため長旅になり、付近の村で休息が必要だったと。そしてその道中でタカリ族と親しくなり結婚する人がいたと。そのエリア出身のタカリ人が日本人と結婚した人がいると言うのだから本当なのだろう。
ムスタン近辺出身のホテル業に長けたモンゴロイド部族
今回は、ネパールのカーストの一つタカリ族です。タカリ族はタクリ族と名前が似ていますが、違う階級です。タカリ族の見た目は日本人や中国、チベット人のようなモンゴロイド系です。身長なども比較的似ています。ネパールにはモンゴロイド系の部族も多くいますが、その中でも特にタカリ族は私たち東アジア人種に似ていると思います。
彼らはかつてネパール中部から北の山中奥へ奥へと入った場所にあったムスタン王国近辺を出身とする少数民族グループで、古くからチベットとインドの交易地点としての地の利を生かして富を築いていました。
そういうことでもともとの生活水準が高かったので、現在もネパールで最もまとまりあるコミュニティであると同時に、最も裕福なカーストグループの一つと言われています。
ネパール料理と言えばタカリ料理
タカリ族が他のネパールの諸民族と比較して群を抜いているものと言えば料理です。観光客が食べているネパール料理は実はタカリ系であることが多いです。気づくこともないと思いますが、ネパール旅行中に食べる食事は、普段ネパール人たちが食べているダルバット、とタルカリー(カレー風味の野菜炒め)とは異なります。全部カレーを食べてるように見えますが、色んなカレーの種類があって味もそれぞれ異なります。そのなかで、ネパールではちゃんとした美味しいカレー料理と言えばタカリのカレーという認識があります。ですので、外国人が多いエリアや繁華街には他のカーストの人々がタカリ料理の看板を掲げてレストランをしていることが多いです。もちろんそれらは偽物で材料も本格的ではありませんが。ほんとにタカリが経営しているレストランはバスターミナルや宿場町などの一角に通常何件かが固まって営業されています。入るとタカリが家族で営業しているのですぐに分かりますし、店の中の匂いが全然違います。1階がレストラン、2階から上がホテルになっていることが多いです。
カトマンズでタカリが多く集まる通りはダラハラ塔からシビルモールの裏通り一帯に広がるホテル街にあります。そこは本物のタカリで占められています。
レストランなどでタカリ族を見るとわかると思いますが、他のあらゆるカーストに比べ仕事がテキパキしています。ネパール人らしくなく、礼儀正しくビジネスマインドが根付いています。
タカリ族の名字や結婚ルール
タカリには以下4つの苗字があります。- ゴーチャン
- トゥラチャン
- セルチャン
- バッタチャン
婚姻に関して、タカリは通常タカリとのみ結婚しますが、ムスタン地区のタカリが集まるエリアにいはプン族が住む丘陵地帯もあり、そこのプン族とのみは言語も通じ婚姻も許容されてきました。そのためプンとタカリは混同されることがありますが、オリジンは別々です。移動が大変だった昔のネパールで、当時のムスタン(移動だけで1週間かかるようなところ)まで旅するような真にネパールを愛した日本人は、現地のタカリたちからも珍しい異国人として気に入られ婚姻はポジティブに受け取られていたようです。