タクリ族|ネパールの王族カースト
タクリとはネパールのカースト制度で王族の階級だった人々です。ネパールではロイヤルカーストと言うこともあります。タクリ族はネパール王室の血縁者だけでなく、ネパール王国成立以前から各地の王だった人々も含まれます。タクリ族の特徴や苗字などについて解説します。
タクリ族の概要
タクリはネパールの王族カーストで、ヒンドゥーのヴァルナではチェトリ(クシャトリア=武人階級)に分類されました。 ローマ字発音ではThakuriと綴られています。 似た綴りではインドのラジプット集団にThakurというカーストがありますが、名前は似てますがグループ全体に直接的な関係があるわけではありません。 他にはネパールのタカリ族(Thakali)も似ていますが関係ありません。 チェトリというのは階層名でもありますが苗字にもあります。 私見ですが私の経験上タクリはマナーの良い人が多く、仕事もきっちりとするタイプが多いと思います。
ネパールの王族カースト
武人階級チェトリの内部にチェトリ族とタクリ族という大別があり、チェトリは戦士、タクリは王族となっています。 王族と言っても2000年代初頭まであったネパール王国のビレンドラ王の家系やそのシャハ王朝のみに限定するものではありません。 グルカ王国がネパールを統一する以前には地域ごとに王がいたので、全員親戚であるわけではないです。 それぞれの王国のなかのタクリ階層だった人々ということですね。
タクリとチェトリは婚姻しない
婚姻などは今もタクリは通常タクリとしか婚姻していません。 またタクリには独自の言葉遣いもあり、この点も決定的にチェトリとは違います。 そしてタクリの人々の大多数はチェトリよりも更にモンゴロイド的な要素が濃い顔立ちをしています。 純アーリア然としたタクリはほぼいません。 タクリ族の美女に二ティ・シャアさんやサムラギ・ラジ・ラクシュミ・シャーさんがいます。
タクリの苗字
タクリの苗字にはシャハ(シャア)、シン、サヒ、ラナがあります。 この中で特にシンとサヒはネパール西部に多いです。 またサヒはネワールのにも存在する苗字(ネワールでは伝統的に肉屋のカーストだったもの)なので、名前だけ聞くとまぎらわしいところがあります。 シャハ(シャア)はペルシャ起源の言葉で王を意味するイスラム世界呼び名ですが、ネパールのシャハ(シャア)はそれと血縁があるわけではありません。 ムスリムがインドで隆盛を誇った時代に王をシャアと呼ぶ習慣が根付いたのが由来です。よってタクリはムスリムでもありません。 ラナはマガールにも存在する苗字です。
王族の呼称
王族に関するネパール語をご紹介します。ラジャは王、ラニは女王、ラジクマールは王子、ラジクマリやサムラギは姫という意味です。 なお、現代ではタクリだけでなく一般人が名前にこれらの単語を付けるケースがたくさんあります。 ラジクマールなどは最も人気な男子の名前です。