マンガラムネパール

ダマイ族|ネパールの仕立て屋と音楽隊のカースト

ダマイ族の音楽隊
私は交流のあったダマイの人の村に招かれ、家でご飯を食べながらしばらく時間を過ごしたことがあります。村の外観は他の集落に比べ非常に雑然とし荒廃した雰囲気さえ漂ってましたが、室内は非常にしっかりと手入れされ、掃除も行き届き、ご飯もとても美味しかったです。ダマイの人々の印象は、友好的で遠慮がちと言った感じでした。

ダマイ族の職業

ダマイ族はネパールの丘陵地域を本拠地とするアーリア系民族の一つで、ネパールの旧カースト制度ではダリットに属していました。カースト制度廃止、カースト差別撲滅が掲げられている現代でも、まだ蔑視を受けている現実があります。ダマイ族は服の仕立て屋(テーラー)と伝統楽器の音楽隊を担ったカーストで、今もダマイ族の多くが仕立て屋で裁縫をしています。ネパールではまだ民族服を着る人が多いので呉服屋と裁縫店が沢山あります。そこでダマイは個人で裁縫店を商ったり、生地を売る店の脇で裁縫係の仕事をしていることが良くあります。今や営業形態は自由に行われています。それから、音楽隊というのは伝統楽器をもって演奏する仕事でありますが、音楽に慣れ親しんでいるため、民族音楽の伴奏としてミュージックシーンでも良く活躍しています。とは言え、ネパールの芸能界で活動するミュージシャンやシンガーソングライター、音楽プロデューサーなどメディア関係はあらゆるカーストの人が参加しており、ダマイが主導している状況ではありません。

特に、ダマイ族はあらゆるカーストの結婚式に音楽を演奏するために呼ばれます。結婚式で流される音楽は必ず基調のメロディが決まっており、パンチェ・バジャと呼ばれています。パンチェは5つを意味し、バジャは楽器を意味しています。
音楽関係のカーストにガイネ族がいますが、ガイネはサランギと言う小さなギターのような楽器を用いた吟遊を家業にするのに対し、ダマイは本格的で儀式的な演奏をするという点で異なります。

ダマイ族の容姿

ダマイ族の顔立ちには2系統あり、南インド系に似た人と西洋人に似た人があるように見受けられます。時々独特で魅力的な顔立ちの物凄い美人がいます。また、丘陵の他のアーリアカーストと見分けが付かないケースも時々あります。体格は総じてほかの部族に比べて良いように思います。おそらく肉を多く食べるからではないでしょうか。

ダマイ族の苗字と仕事の関係性

ダマイ内部では担う職業によって苗字が決まっていました。パリヤルならテーラー、ナガルチは音楽演奏、などです。その他、ガーレー、バルデワ、ドーリー、ネパリ、スンダス、スナム、ダス、ダルジなどがいます。

ダマイ族への差別はまだある

ダマイ族に対する差別はいまだに存在します。私の実体験で例を言うと、少し田舎の町に住んでいたある日、町に日本人がいると聞いて興味を持った中年のダマイのおばさんが、私が滞在していたとこの家主と友人であったため、好奇心から私を見に来ていました。そして、家に遊びに来いと誘ってくれました。私は現地人たちのさまざまな生活ぶりが見れると思い、とても嬉しかったので、即答で遊びに行くと答えました。その場にいた家主もニコニコとしていました。その少し後の日、呼ばれてそのダマイの人の家に遊びに行きました。集落の外観は他の集落に比べ少し荒れた感じではあったものの、室内は他の集落よりも色んな物が揃っていました。ご飯を食べなさいと言うから私もお腹がすいていたのですぐに食べさせてもらいました。肉が入っていました。家主の家では肉の料理を食べないので、久しぶりに肉が食べられて嬉しかったです。私が室内で食べている間、2、3人のダマイの若い人も見に来たり、少し話をしたりしました。向こうもワクワクしていたようでした。とても友好的で、何でもOKみたいなイージーゴーイングでありながら、人の気持ちを汲み取るのも上手な人たちでした。さて、私の住んでいる所に戻った後、家主は「貴方あの家に行ったの??」と聞かれ、私は「美味しいご飯まで頂いて楽しかったです。」と答えると、家主は目を見開いて「行くべきじゃないのに、ご飯まで食べたの!?」と咎められました。これが実話であることは悲しいことです。

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