ネパールを襲うインフレ。物価と年収が釣り合わず

2022/8/20

ネパール人の年収っていくらだと思いますか? 私の知ってるレストランシェフで年収18万円です。ウェイターで年収8万円です。ボーナスなんて本当にありませんよ。これがネパールでは当たり前です。ハイソサエティ?そんなのはごく一握りであって、ほとんどが年収10万前後で生活しています。ですからネパールでは働く=住み込みという形態が非常に多いです。住み込みの利点は食事や寝室のお金がかからないことなので人が集まりやすいのでビジネスオーナーは良くそのようにしています。

私が好きなウィスキーがある。インド産のもので(王族が興したメーカーで品質を追求しすぎて破産という商売知らずの王族らしいものだが味は確かなものであり)翌朝頭痛が残らないので好んでいるのだが、1年前2年前の値段と比較して70%の値上がりとは如何なものか・・・。それは時々しか飲まないから良い。しかし野菜や果物、肉、衣類、靴など必需品の値上がりが露骨すぎてエグイ。これ庶民は娯楽品を買う余裕が完全になくなっている。7年前、ネパールのド田舎で我々は鶏の肉も食うなというのかー!!とデモを行っているのを見たが、よほどの田舎でない限り人々は少々高くても鶏肉ぐらいは食べようとしていた。(ネパールでは肉が高いのでご馳走という感覚) だが最近は首都でも鶏肉は高いので買えないとか言っている。ちなみにネパールで変える肉の値段は「鶏肉<水牛肉<豚肉<ヤギ」。鶏肉が一応肉類の中では一番安い。その鶏肉も値上げで買えなくなりネパール元来の菜食中心の生活に戻りつつある。レストランに行くともっとヤバい。カレーセットが200円ならチキンカレーは400円とかになっている。小さな小さなチキンの切れが2,3個入ったプレートが添えられるだけで倍の値段になるようになった。鶏肉2,3粒のために倍の値段とはまさに「鶏の肉も食うなというのかー!!」な事態である。ガソリン価格も上がってきている。1リットル100円だったが2年で1リットル150円に上昇とはいかに。そう、今や必要ない限り極力自動車にもスクーターにも乗らなくなっている。乗れなくなっている!!だから私のスクーターを貸してといって貸したら何時間も戻ってこない、ここぞとばかりにそこら中を乗り回していた!!といった事態になる。仕方なくガソリンを入れに行こうにも、運が悪い日はガソリンスタンドが閉まっていることもある。今日はガソリンが不足していますとか平気である世界だ。インドからのパイプがどうのこうの、ウクライナの一件でどうのこうの、ことある度にガソリンスタンドに行列ができる。実際現地人はもうカネがないんです。それでいてあのエベレストが如き高きプライドは一体なんなんだろうか・・・?というのはおいておいて、今後も物価高騰が続きそうです。

ネパール経済の問題点

ネパールでは海外からの帰還組が大金保有しています。彼らは外国で働きまくってものすごい金をためています。二重に労働したり色んなテクニックがあるみたいです。全部本国に持ち帰っています。さてこの持ち帰られた金ですが、最終的に全部インドに流出しているのではないでしょうか。というのも、ネパールで人々が買う品々のほとんどがインド製です。家を建てるならセメントから鉄骨に至るまで全てインドから、そして家を建てる職人も大多数がビハール出身のインド人です。野菜は全部インドか中国製、家電は全部インドか中国製、ビールまでインド製。ネパール人が大好きなインスタントラーメン(チャウチャウまたはワイワイ)もインド系企業がシェアのほとんどを占めています。ネパールのビジネスの多くがインド出身の商人グループであるマルワディによって独占されていますし、小売りも国境を越えてくるインド人が卸しています。特にネパールのタライ平原に住むマデシグループ(インドよりのネパール人)の増加が著しく(選挙したらマデシが勝つほど)、それに伴いビジネスネットワークが拡大されて勢いを増しています。インドから色んなものが持ち込まれてくるため、従来のネパール人経営の小売りは劣勢に立たされています。まずは外貨を国内でループできるようにしないと穴の開いた財布状態ですが処置無しになっていますね・・・。