タルー族|ネパール南部タライ平原の先住民の暮らし

タルー族
タルー族の村ですすめられた酒はコメを原料とした黄褐色の原酒で、その味は実にオーガニックで私は美味しいと思いました。人々はとてもフレンドリーで、女性たちも開放的でくったくがないと感じました。物腰が柔らかく、のどかな田園風景と彼らの性格はとてもマッチして滞在中はとても和みました。 タルーの村を見分けるポイント、それは集落内でアヒルの放し飼いが行われているかどうかです。タル―の人々はアヒルが大好物なんです。もう一つの特徴として、泥を乾かして作った黄土色の家を何軒か連ねて住みます。竹を編んだ骨組みに泥を塗って乾かした家屋が特徴的で夏でも涼しく、伝統的で古いスタイルにも関わらずロハスなデザインにも見えます。屋内は家具が少なくすっきりとしていて、天井は茅葺の屋根まで吹き抜けていて広く高いスペースが確保されています。それらがタル族の地域の目印です。タル―族は主にネパール南部タライ平原と、そしてインドまではみ出して分布しています。タルー族は元来タライ平原の先住民でしたが、土地を奪われて現在は比較的貧しいコミュニティーになっています。それでも地方の集落で生きる人が多く、出稼ぎのために都市部に出る人は少ないと感じます。 タルー族の外見はインド的な顔立ちや東アジア的な顔立ちなどさまざまですが、どちらかというと東アジア味が濃くでていると思います。タルーは自然と共生した暮らしを続けてきた人々で森を愛し、川魚や穀物、コメを中心にした食生活で平和に暮らしていました。この地に適応し、マラリアの耐性も獲得しています。それからずっと後の時代、ネパール王国になってからは土地を収奪されたうえ、代わりに労働力として作業することを強制されました。そして最後には各地に強制移住させられました。 タル―の人々は伝統衣装はすでに着用しなくなっています。伸縮性のあるパンツとTシャツが一般的ですが、本来の民族衣装は白いサリーです。 現代ではネパールの特にチトワン国立公園やバルディア国立公園などでタル―の昔ながらの集落が見られます。そして彼らは再び自然を好み、温和でマイペースに暮らす農民に戻っています。最近はネパール人が国内旅行をするようになり、タル―族の一部はツーリズムの恩恵を受けるようにもなっています。ホームステーなどを通してタル―の文化体験ツアーなども出てきています。