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ネパールのカースト制度は苗字で階級が分かる身分制度

今回はヒンズーの身分制度の名残が今も続くネパールで、どのようにして人々は階級を認知しているかについて。もちろん、民族衣装を見れば認識できるのだが、最近の若い人々は民族衣装を着なくなってきている。
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カーストという言葉の意味

外国人がヒンズーの身分制度を呼ぶときカースト制度などと言うが、カーストは実は英語。が、今やネパールでもカーストという言葉が普及し、そのため身分の上下を表すハイカースト(アッパーカースト)とかローカースト(ローワーカースト)とか言う言葉が派生している。

正確には、カースト制度はジャーティと言う。そして身分そのものもジャーティと呼ぶ。例えばバウン(バフン)はジャーティの一つと言える。そしてそれぞれのジャーティのなかに苗字がある。苗字はネパール語でタールと言う。

ジャーティ=階級・身分
タール=苗字

ここからカーストと言う英語が出て来る。
ネパール人は「カースト」という英単語を「苗字」と同じ意味で使っている。つまり、ネパールではカーストとタールは同じ意味だ。

ジャーティ=階級・身分
タール=苗字
カースト=苗字
タール=カースト=苗字

人種と民族で分けられた階級

カースト制度では人々が人種グループと民族グループごとで階級分けされている。(民族というのは特定の独自文化を持つ集団であって、人種集団ではない。)
カーストの上位と下位はアーリア人種、中位はモンゴロイドになっている。そうして各階層内をさらに民族ごとでランク化している。そしてその民族内にはさらに民族独自のランクが存在する。そして、ランクごとでそれぞれ異なる独自の文化・風俗を形成している。つまり、相手の流儀を知りそれを尊重する上で、部族・階級をきちんと認識することが重要になる。 【例えば】
上位階層にはアーリア人種が。その中で、最も混血が低く、禁欲的な生活を続ける民族のバウンがランク1に。やや顔が混血がかり、生活もバウンほど禁欲的でないチェトリがランク2。
ランク1のバウン民族の中にさらに、バウンとジャイシバウンという二つのランクがある。


それぞれの人種や民族には独自の伝統的な名字がある。このため、名字で民族が分かり、民族が分かると階級が分かる。或いは、顔で人種や部族が分かり、階級が分かる。

一旦まとめると、「名字で階級が分かる」となる。ネパール語で言うと、「タールでジャーティが分かる。」もしくは、「カーストでジャーティが分かる。」


つまり、カーストという言葉を『身分』と誤認していても、結局同じようなものだ。

しかし、時には同じ苗字が他の身分にもある場合も少しある。その場合は?

名字と身分・階級の例外ケース

各グループごとに独自の名字があると書いてきたが、例外のケースもある。 【例えば】
タガダリ(上位階級)のチェトリグループとマトワリ(中位階級)のマガールグループには共通する名字が多い。
こういった場合はどう識別するか。
前述の通りカーストは苗字(英語:サーネーム)の意味として使われているため、「貴方のカーストは何ですか?」と問うのは身分を問うていることにはならない。貴方の苗字は何ですか?という意味になる。
通じない場合は、「貴方のタールは何ですか?」で同じ意味の質問になる。

一方、「貴方の名前は何ですか?」と言うのは、ファーストネームを尋ねていることになる。

※ネパールでは通常、「貴方のお名前はなんですか?」とだけ聞くのが一般的。

地位は関係ないと口では言うが、相手のタールまで聞き出し、聞き慣れないタールである場合は誰かにどのジャーテか尋ねて確認する人もいる。

身分は、バウン、チェトリ、マガール、ネワール、グルング、タマング、ディマルなどなど色々ある。例えばカクレルと言えば、身分(ジャーティ)はバウンで、苗字(タール=カースト)がカクレルさんであると分かる。
バウンという階級のなかに、カクレルという名字があるわけだ。
しかし、全階級の苗字を皆が覚えているわけではないし、例えばマガールとチェットリには共通する苗字が多いし似た顔も多い。「貴方のカーストはなんですか?」と聞いて、「タパです。」と言われても、タパ・マガールなのか、タパ・チェトリなのかどちらのタパなのか分からない場合は、「貴方のジャーティは何ですか?」と聞くことになる。すると、「マガールのタパです」なり、「チェットリのタパです」と返ってくる。

カースト制度の構造 身分の順位と職業

しばしば"カースト"と呼ばれる身分制度は、ネパールでは以下の各層で構成されていた。
上から序列準に: タガダリ>マトワリ>下位マトワリ>パニナチャルネ>アンタッチャブル

これらの各層のなかにさらに細分化されたランキングがある。
  1. 第一階層のタガダリは転生できる人を意味し、もっとも位が高い人々が属した。この層の内部は序列1位のブラーミン(バウン/バフン)の人々と2位のチェトリ(クシャトリヤ)の人々で構成されている。そして序列1位のブラーミンの人々は、そのグループ内でさらにバウンとジャイシという二つのランキングに分かれている。序列2位のチェトリにもタクリ・グループや通常のチェトリグループなどに分かれている。
  2. マトワリは酒飲みカーストという意味で、モンゴロイドの部族達が配属された層
  3. 下位マトワリは奴隷的労働に従事してもよいことになっている。 各人種が配属された層
  4. パニナチャルネは水の使用に関して制約を受けたカーストの層
  5. は不可触民として配属された層
マトワリや下位マトワリのモンゴロイド部族達はネワールとグルングを省いて、自らの部族内の人々を上下に分けたりはしていない。

カースト制度の職業

カースト制度には職業もある。例えばバウンは僧族として僧侶に、チェトリは武人などだが、実際は各カーストがその決まった職業だけをしているわけではない。ネパールではほぼすべてのカーストが農業で暮らしを立てている。ただしネパールの場合、国家の中枢を担う役所などはバウンの率が高い。これはインドでクシャトリアのラジプットグループが政治的に強大であるのと異なっている。(ただしインドは元々地方ごとで人種も文化も異なり場所によりけりだが。)

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