カーミ族|ネパールの鍛冶職人カースト

2022/11月/08
カーミ族が作るネパールの金属アクセサリー

カーミ族の職業

ネパールの伝統的なカースト制度において、「カーミ(Kami)」は鉄や銅などの金属を扱う職人・鍛冶屋カーストを指します。カトマンズでカーミの古い家に行ったことがありますが、昔ながらの炉がありました。今ではそれは珍しいことです。あれが昔の生活の原点なのでしょう。かつてネパールの農村において、カーミの家の炉は地域全体を支える中心地でした。彼らはその炉の炎で、農業に不可欠なククリ(伝統的な短剣)や鍬(くわ)、鎌などの鉄器を作り出してきました。職業に縛られた階層化というカースト社会制度社会の中でも、彼らはこの炉の炎と自らの技術だけを頼りに、何世代にもわたって家族の命を繋ぎ、生活を築いてきました。まさに生き抜くための原点です。カーミは特にヒンドゥー神の一人ビッショカルマ(ビシュワカルマ)を強く信仰します。ビッショカルマは「機械や金属、工芸、建築の神様」であるため、金属工具を日常的に使うカーミの人々にとって、本質的に最も関連性の高い神格とされてきました。

カーミが一斉に祝うビッショカルマ・プジャ(お祭り)

ビッショカルマ神の祭りの日は、カーミ(鍛冶職人カースト)をはじめとする職人たちがパレードや行列を行う光景が見られます。この練り歩きには、彼らの信仰とアイデンティティに関わる以下のような重要な意味があります。お祭りの当日、カーミの人々や工場の労働者たちは、粘土などで作られた大きなビッショカルマ神の像を車や輿(こし)に乗せ、音楽を鳴らしながら町を練り歩きます。それはアイデンティティの誇示でもあります。ネパール王国が建国されてカーミは「不可触民(ダリット)」という扱いになったため、神の創造性を自分たちの誇り高いルーツとして重ね合わせることで、誇りとアイデンティティを守っています。パレードは単なる宗教儀式だけでなく、「自分たちは職人の神の子孫である」というコミュニティの結束と誇りを周囲に示すための重要なイベントでもあります。このように、ビッショカルマの日は工場の中で機械を祀るだけでなく、カーミの人々が主役となって町全体を賑やかにパレードする日でもあります。

昔は武器製造や宝石製造など担うセクターがもっと明確に分かれていました。

スナール(Sunar):
伝統的な金のネックレスや鼻飾りなどのジュエリーを作ってきた金や銀を専門に扱う職人グループ

ロハール(Lohar):
鉄農具や武器を作る職人

カーミ族は大変貧しい者から富めるものまでさまざまいます。昨今は宝石店や家具製作所を経営する大金持ちも出てきています。ネパールの宝石店のほとんどがカーミ族によって経営されているとはいえ、すべてがカーミ族というわけではありません。 今の時代ではカーストと職業の関係性は徐々に薄まってきており、ビジネスとして捉えた別カーストのお金持ちが宝石店を経営するケースも増えています。 ネパールは宝石の需要が高いので参入する人が多いのです。

カーミ族の容姿

カーミ族の人々は肉を多く食べるので恰幅の良い人が多いです。 顔立ちはインドアーリア系ですが、西洋人風の人も割といます。さらに最近はタマン族など非ヒンドゥーのカースト意識を持たないモンゴロイド部族と婚姻するようになり、かなりアジア的な顔立ちも増えています。これはカーストのしがらみがないだけでなく、モンゴロイド系の女性はネパールでは美しいと考えられており、人気があるのも要因になっています。

カーミ族の名前

カーミ族の苗字にはビショカルマ(ビカ)、ソナール、ロハール、タマタ、バライリー、ディヤリー、スヌワール、ソナム、などがあります。実際にカーミ族の人から聞いたところによると、カーミ族の中にも序列があり階級意識が存在しているそうです。

About Me:世界の文化・歴史・宗教を探究する

カースト制度やイスラム教の慣習、外国の名前や名字、観光情報や異郷の姿、紛争や社会摩擦に至るまで、世界各国の事象を、その背景にある本質的な因果とともに記録し、世界をより深く理解するための知識を読者と共有することを目指しています。

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