ネパールの偶像・神像・彫刻デザイン|ネパール芸術【ネパールの写真】
ネパールはいまでこそインド系の人が多い国ですが、統一される前は各地に小さな王国があり、カトマンズ盆地では先住民であるネワール人の王国がありました。いま目にするネパールらしいデザインはこのネワール王国にルーツがあります。厳密にいうとネワール王国時代のマラ朝のころから中国人が建築に関わっていたと言われています。そして実際に現物を見ても分かる通り、それらネパールを代表する芸術の数々は中国の影響を強く受けています。ネワールの言葉さえ「チャ・チ・チュ・チェ・チョ」の発音が異様に多く、ヒンディー語系とは明らかに異なっています。今回はカトマンズ盆地のネワール人の古都ラリトプールに残るパタン宮殿にある彫刻(ネパール語でムルティ)を見てみます。ネパールの彫刻はけっこう美しいと思います。
これはクマールという神でネワール人たちはこれを入り口の前に置くことで神に守られるという考えがあります。入口付近の守り神を置くのはアジア全域で見れますが、ネパールではネワール建築にのみ見られる特徴でもあります。こっちはさっきのと違い、見開いた眼力が凄いですし動的な表現ではないかと。過剰装飾のような冠のデザインがヒンドゥーっぽいですね。鼻の輪郭や髭の生やし方もインドっぽい感じでしょうか。この座り方も南アジア的ですね。
擬人化した獅子でしょうか。門番のような置かれかたですが、ムスっとした顔は動的な表現というより静的な表現がされているのではないかと。顔の造形はやはりネワール人の顔に似ています。頭のかぶりものはネパール建築の屋根においてある尖塔(次回のせます)のデザインと共通している気がします。耳がピンと尖っていますね。この耳の形状はネパールでは少ないです。ほとんどのネパール人の耳の上部は丸く若干肉厚になっています。これは髪ですよね。ウェービーな長髪ではないかと。全体的にふっくらと丸みを帯びた造りでなんか可愛いですね。
次はこちら。これは東南アジアのアユタヤやアンコールワットなどの石像遺跡なんかで見るデザインに似ていませんか?東アジア全体に、獅子を置くことで保護を意味する像がありますが、だいたい似たデザインですね。これもネワール建築に多く見られるものです。