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ネパールはどんな国?

ネパールのカースト 序列二位チェトリ(クシャトリヤ)

この記事は、ネパールのチェトリ族について書いてゆく。チェトリのスペリングはChhetriと書くのが通常だが、フェイスブックなどではXettri、Xetri、Xetry、Xetreeと書いている子も多い。これらの読み方は全てチェトリ(チェットリ)である。タイトルにクシャトリヤと入れたのは、クシャトリヤに相当するという意味に限定されるもので、ネパールのチェトリはインドのクシャトリヤとはまったく体質が異なる。というのも、チェトリの歴史は浅く、1800年代中頃になって、時の執権が独断でネパール西部のヒンドゥ教徒の人々をチェトリに取り込み人種的マジョリティにしたのが始まりなのだ。 つまりネパールのクシャトリヤ(チェトリ)とは、ブラーミンのようにパンディットや近隣に血統を聞けば延々と遡れるようなものではなく、よく分からないのである。チェトリは一人として自らをモンゴロイドと言う者はおらず、アーリア人の秩序側に立っているが、顔もなんだかモンゴロイドのようなのが多く、限りなくアーリアに近いモンゴロイドか、限りなくモンゴロイドに近いアーリア、ようするに混血しているような顔が多い。この識別を明確にせずアーリア人として一括することは、ブラーミン(バウン/バフン)にとっても都合が良いだろう。アーリア系を自称し名誉にする兵隊(チェトリ)がアーリアを人口マジョリティにしてくれ、体制を保証してくれるのだ。

ネパールのカースト制度においけるチェトリの序列

ネパールでは最大人口を誇るチェトリはカースト序列2位であった。そしてその序列2位のチェトリと序列1位のバウンとを括り付け、チェトリバウンと呼ぶことがある。この2つがタガダリと呼ばれるカースト上位階級(ハイカースト)だ。序列ナンバー1とナンバー2が相互に依存しマジョリティを保つ体制だが、チェトリとバウンはインドアーリア系であるのは間違いないが、顔で見分けがつくぐらい違いがある。バウンはよりインドアーリア然とした顔をしているのに対し、チェトリはアジア的な何かが少し混ざったような顔立ちが多い。バウンがインドのブラーマン(=ブラーミン)とそっくりであるのに対し、チェトリはインドのクシャトリヤとは顔つきがかなり異なる。また、生活習慣などもバウンほど厳しいものではない。

チェトリの構成

チェトリは武人階級(インドでは「クシャトリヤ」と呼ばれる。)でヒンズー教カースト制度の階級序列二位。軍のみならず行政に携わってきた。内部にはチェトリとタクリの2つのメジャーグループがあり、さらにそのグループ内にサブグループがある。
一般的にチェトリはチェトリと結婚するのだが、仮に異階級と結婚しても、バウンがスードラ以外の他の階級と結婚した場合、階級がチェトリに落ちるのとは違い(詳しくは記事:ネパールのカースト:バウン(ブラーミン) にて)、チェトリはスードラ以外の他の階級と結婚してもチェトリのままで階級落ちはしない。
また、タクリはタクリ、チェトリはチェトリの独自意識が強いが、一括にチェトリとしてカウントされている。
厳密にはタクリについては別記事が必要だ。

階級意識が緩和した現在、チェトリは人口が最も多い。人口増加率もトップらしい。総人口は2011年統計では17%だった。
混同されることが多いのだが、サンニャシのギリとプリはチェトリには含まれない。

ヒンズー崇拝が保証する地位

チェトリもバウンが素肌に袈裟がけにかけている綿100%の白い紐を身につけることをバウンから許されている。これはジャナイと呼ばれるもので、バウンから幼少期に授けられる。
この儀式によってチェトリはバウンに準ずる上位階級タガダリの一員として認められている。

チェトリはバウンを頂点としたカースト制度のなかで、序列二位を与えられてきた。バウンの習慣である白い紐(ジャナイ)を身に帯びるのは、チェトリにもバウンから与えられるものであり、その軍門に下ることを意味するいわばカースト制度への服従の証だ。チェトリはカースト体制に忠誠を誓う兵隊なのだ。

バウンとチェトリはこのジャナイと呼ばれるヒンズー教の神聖なる白紐を袈裟がけに帯びている。
チェトリは幼少期にバウンの僧侶に与えられるそのコットンの紐を生涯何よりも大事に背負い生きてゆく。
白い紐を証に、バウンとそれを与えられたチェトリでもってハイカーストとしている。特にこの白い紐は「身分」証明なる一品ということだ。

チェトリの序列意識


チェトリは、バウンを頂点としたカースト体制のなかで、もっともその体制の恩恵を受けてきた。支配を拒んだモンゴロイド諸部族より上のランクだと言う階級意識を持っている。この選民意識は例えばチェトリはそれがどれだけモンゴロイドに見えても、また、親がモンゴロイドであっても絶対にモンゴロイドという言葉は避けるところなどに滲み出ている。あくまで「チェトリです」であり、アーリア系であることを暗に示唆する。(そもそもバウンvsその他がまとまって戦ったわけではない。諸民族並立のなかで、自分のカーストグループのこと以外知ったこっちゃないようなところが今もってある。) これについては別記事でも書いた。
田舎のほうに行くと、チェトリのバウン崇拝はけっこう本気だ。

彼らの習慣、ジャナク信仰、パンディット(バウンの僧侶)崇拝、家の出入りや下位階級への言動にいたるまで、しっかりとバウンのルールに則っている。

チェトリの苗字一覧 ネパールのカースト

チェットリには歴史に関係のある名字が多い。
さっそく名字とその意味を見てみよう。(カタカナ表記と発音がやや異なる場合がある。)

アディカリ、カトリ(ケーシー)、カルキ、カドカ、カジ、クンワル、ガルティ(ジーシー)、タパ、タクリ、バニヤ、バンダリ、バスネット、ハマル、ビスタ、ボーガティ、ボホラ、ブダトキ、チェトリ、チャンド、ラミチャンネ、マハト(マハットゥ)、マッラ、ラナ、ルワリ、ラウト、シャア、シャハ、サヒ、シング(シン、シィング)

英字綴り
Adhikari, khatri (K.C), Karki, khadka, Kaji, Kunwar, gharti (G.C), Thapa, Thakuri, Baniya, Bhandari, Basnet, Hamal, Bisht (Bista), Bogati, Bohora, Budhathoki, Chhetri (Xetry), Chand, Lamichhane, Mahat, Malla, Rana, Ruwal, Raut, Shah, Shahi, Singh,

チェトリの苗字は時代の名残りで役職を表すものがある。

  • アディカリ 役人
  • カルキ 財政の役人
  • カドカ 剣士
  • タパ 国境兵
  • バンダリ 倉庫番
  • ビスタ 男爵
  • チェトリ 戦士
  • カジ 指揮官

(チェトリは階級の呼称だが、苗字でもある。)

バウンと被っている苗字

  • アディカリ(アディカリは通常ほぼ全てチェトリである)
  • ラミチャネ
  • ビスタ

ネワールと被っている苗字

  • バニヤ
  • マッラ
  • シング

マガールと被っている苗字

  • ラナ
  • カドカ
  • タパ
  • 他複数

タルーと被っている苗字

  • マハト

バウンからチェトリに階級落ちした苗字

  • ハマル バウンとタクリの混血
  • カトリバウンとチェトリの混血カトリ(Khatri)のチェトリ(Chhetri)であることからKC(ケーシー)と読んだりする。

チェットリにはマガールと被っている名字が多いのだが、その理由については別記事:マガール族 ネパールでの知られざる興亡にて記述した。

タパ姓
タパ姓はインドのヒマラヤ沿いのエリア(ヒマチャルプラデシュからアッサムまで)にもクシャトリヤ階級として分布している。そもそもタパチェトリは人口が多い。そのためかタパは独自のグループ意識を持っていて、タパグループ内にはさらにいくつものサブグループがあるらしい。実際私の友人のタパは「私はタパだ。他のチェトリとは食や習慣が少し違う」と言っていた。
全部のタパがそう意識しているようには見えないが。

チェットリの特徴

チェトリの場合、菜食主義者はいるが、身分としての決まりではなく個人個人の趣向によるようだ。
チェトリはアーリアの濃い顔や、ボリビア、ペルー、メキシコ人のようなハーフ顔まで多種多様で、非常に美しい女性が多い。美人だけでなくイケメンも多い。バウンに少し丸みやむくみを加え、眼のくぼみをなくしたような顔。(少しアジアっぽくした顔)
バウンとチェトリのハーフであるカトリや、バウンとモンゴロイドカーストのハーフなどはえもいわれぬエキゾチックさで特に美しい。(全部チェトリになる)

また、モンゴロイドがかなり濃く出た顔や、モンゴリアンカーストと見分けがつかない顔も時々いる。両親が異階級婚(インターカースト)で、どちらかがモンゴロイドである場合も多く、これらのなかにはほぼモンゴロイドにしか見えないケースも多い。
チェトリ女性はモデルも多く、ネパールの音楽ビデオにはこの階級から多くの美女が登場している。
さらにタクリになるとモンゴロイド色の強い顔が一層多くなることは良く知られている。
番外編
美人編